嫌われもの
このところすっかり、
トラに嫌われている。
トラ・・・・
メタボの、オス猫、我が家の王様です。
まあ、大体が・・・
私はトラに嫌われては、
いたんですけどね。
なにせ、
私は、トラをこね回す。
だって、可愛いんだもの。
つい、触りたくなるじゃないですか。
おまけに、
このところ、すっかりトラの
餌係を、廃業してしまった。
だって、
トラの餌係は母なのだから。
だけど・・・・
だけど・・・・
このところのトラは、
全く私に寄りつかない。
私の顔を見ると、
プイと、横を向いて、
さっさと、回れ右をするのだ。
そりゃないだろうが・・・・
こんなに、可愛いと思っているのにさ。
こんなに、愛しているのにさあ・・・
もっぱら、私の
片思いなのですよ。
すっかりこのところね。
何故か!!!
じつは、
ここ数日、私はトラの後を
追い回しているのだ。
「トラ、ちょっとここに座ってよ」
「トラ、こっち向いてよ」
「トラ、寝てないでよ」
「トラ、ダメだって、そっちじゃないよ」
フフフ・・・・
何やってると思いますか?
そうなの・・・・
トラの絵を描こうと、頑張ってるの。
描きたいトラの絵は
目がパッチリ開いた、
可愛い姿なんですよ。
ですからね、
トラに、眠られたら、ダメなの。
ところが、
トラは、お腹が一杯になると
すぐ、丸くなって寝込んでしまう。
たまたま、いい具合に
可愛い目を開けているときは、
とにかく、動く。
右を向いている絵を
描きはじめれば、
すぐに、顔を逆にしてしまう。
「おいおい、そりゃないだろうが・・・
右向きを描いているのよ。
ちょと、こっちに向いてよ」と
顔を、右に向かせると・・・・
「五月蠅いなあ・・・
僕は、こっちを向きたいのさ
あんたの、勝手にはならないよ」
ってな具合でして・・・
とにかく、トラの向きを
追い掛けて、私は
あっちへ、行ったり、
こっちへ行ったり・・・・
トラの顔を無理矢理
動かしたりしているものだから
トラにすれば、とんでもなく迷惑らしい。
すぐに、嫌気がさして、
逃げ出されてしまうのです。
私は、元々デッサンが苦手。
そこへ持ってきて、
相手が動くとなると、
本当に、描くのは難しいなあと
思うのであります。
そこで、先日、絵画教室で
先生に、聞いてみた。
「私、動くものをデッサンするのが
全く苦手なんですけど・・・」ってね。
そうしたら、先生曰く・・・・
「僕が昔、絵の予備校に行っていたときに
動物のデッサンをしたことがありましてね、
その時、二種類の人間がいましたよ」
「二種類の人間?」
「つまり、動物が動いても、全く気にせず
描いている人と、動く動物を追いかけ回して
同じ形を追い掛けている人間とね」
うーん・・・・・成る程ね。
そういうわけですか・・・・
どうやら、私は、追いかけ回す方らしい。
野球の名選手がよく
球が止まって見える、という。
動体視力というのだそうだけど、
動いているものが、
一瞬止まって見える人間がいる・・・
ってことらしい。
だから、いくら相手が動いても、
一瞬の姿を、描き出せるのだろう。
それって、凄い人だなあと、
おもいませんか?
結局のところ、それって、
練習なのかなあ・・・・
とにかく、
以来、トラは、全く私に寄りつかない。
寄りつかないトラを、
追いかけ回す日々が続いている。
さて、トラの絵は、
いつになったら、描けるのだろうか・・・
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